誰もが考えるべき、確定拠出年金の出口戦略

誰もが考えるべき、確定拠出年金の出口戦略

老後の資産形成のためにコツコツ積立をしていく確定拠出年金ですが、受け取りの時期が近づくほど、自分の資産の見直しをする必要性が高くなります。
今回は、確定拠出年金に加入しているすべての人におとずれる「出口戦略」について解説していきます。

出口戦略の考え方

まず、ポイントになるのが価格変動リスクに配慮した「資産構成を見直すタイミング」です。
確定拠出年金を始めて間もない初期の段階では、全体資産残高がそこまで大きく積みあがっていないことから、多少価格が変動をしても将来のパフォーマンスに対して大きな影響がないと考えます。また、20代から40代のかたは受け取り開始まで10年間以上あるため、リスク資産を多めに取ったポートフォリオで積極的な運用をしても良いでしょう。

ですが、50代後半に入ったかたがこれまでと同様に高いリスクのポートフォリオで保有するのはどうでしょうか。
出口に近づくとコツコツ積立していった結果、確定拠出年金の保有資産が大きくなっているため、商品の価格変動に影響を受けやすくなります。また、受け取りが近づいた頃にコロナショックやリーマンショックのような暴落が起きると年金資産が半分に減る可能性もあります。お金が必要なタイミングで年金資産が大きく減ってしまうことは、できれば避けたいところです。
ですので、50代から50代後半になった時にはこれまでの運用を見直し、慎重に安全資産へ移していくのが良いでしょう。

万が一、相場の下落を受けてしまった場合でも確定拠出年金には「運用指図者として60歳以降も運用を継続することができる」という安心材料があるので、受け取りの時期を先に延ばすという手段を使うことができます。

もちろん相場下落の理由以外でも受け取り開始の年齢を先に延ばすことができます。一定のコストは必要ですが、すぐに資産を必要としない方や運用が好きな方は運用益に対して非課税のまま、続けることが可能です。

2022年に施行される法改正は利用期間の拡大などがあります。出口戦略を考えるうえで、どのような影響があるか確認していきましょう。

2022年の法改正を確認しよう

2022年は確定拠出年金の大きな法改正が施行されます。
ここでは2つの改正を確認していきましょう。

①受給開始時期の選択肢拡大(2022年4月1日施行)

確定拠出年金の受け取り開始上限の年齢が70歳から75歳まで延長されます。国民年金の繰り下げ受給が75歳に延長されることにあわせた改正です。

メリットは、受給開始までのタイミングと非課税で運用する期間が5年増える点です。
注意点は、運用指図者期間は口座管理の手数料がかかる点と、受給上限年齢に達すると受取り方法の選択肢が一時金だけになる点です。
※通算加入者期間の定めがありこの点は次回以降解説します。

②企業型DC、個人型DCの加入可能年齢拡大(2022年5月1日施行)

企業型DC

厚生年金被保険者(70歳未満)であれば加入することができるようになります。
(企業の規約などによっては加入できる年齢は異なります。)

現在は、原則60歳未満の厚生年金被保険者を加入者とすることができます。
また、60歳以降は規約に定めがある場合、60歳前と同じ事業所で引き続き使用される厚生年金被保険者は、65歳未満の規約で定める年齢まで加入者とすることができます。

 
個人型DC

加入可能年齢が60歳未満から65歳未満までに5年延長されます。
60歳以降の方で個人型DCに加入できるのは、国民年金の第2号被保険者または任意加入被保険者です。
また、海外に居住している方はこれまで個人型DCに加入できませんでしたが、国民年金に任意加入していれば加入できるようになります。

現在個人型DCに加入できるのは60歳未満の国民年金被保険者です。

加入年齢拡大のメリットは、人生100年時代に合わせた働き方に対応する点です。60歳以降も働き続ける場合は今回の法改正によって税制優遇を5年長く受けながら老後資金の準備ができます。

出口戦略では今回の法改正とあわせて「受け取り可能期間」と「運用指図者期間」がポイントとなります。企業型、個人型も含め次回以降お伝えしていきます。

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