運用指図者の「口座管理手数料」はメリットからすれば少ない額?
今回は運用指図者として運用期間を延ばすうえで、積立のシミュレーションを交えながら手数料などの注意したい点について考えていきます。
拠出期間中の運用シミュレーション
はじめに、企業型DCや個人型DC(iDeCo)加入期間に積立をするとどれくらいの資産をつくる事ができるかを考えていきます。
確定拠出年金では一般的に定額購入法(ドルコスト平均法)で資産を積み上げていく手法を使います。(確定拠出年金では月払いだけではなく年払も選択が可能です。)
●30歳の方が月23,000円を運用利回り3%で60歳まで積立した場合
(企業年金等のない会社員、専業主婦の方を対象に満額の拠出金額で計算)
30年間での積立の元本は828.0万円、最終積立金額は1,340.3万円となり、コツコツ毎月積立を続け、想定利回り3%を達成した場合、運用によって512.3万円の収益が生まれる結果となりました。
通常の投資信託で積立をした場合、運用の収益に対して20%(所得税15%、住民税5%、※2037年までは所得税に特別復興所得税0.315%上乗せ)が課税されますが確定拠出年金は運用益に対して非課税のメリットがあるため、運用の収益はすべて年金資産に組み入れることができます。
【3%シミュレーション例】
この計算は「年金終価係数」という計算を用いて計算します。
年金終価係数は、一定金額を一定の利回りで複利運用しながら積立した場合、将来いくらになるかが分かります。
本来60歳になれば確定拠出年金の受け取りを開始できますが、ここからさらに10年間受け取りを繰り下げし、運用指図者として1,340.3万円を、想定利回り3%で運用した場合、年金資産がどのように増えるかを見ていきましょう。
ここでは、「終価係数」を用いて計算します。
今、手元にある資金(元本)が一定期間、一定の複利運用をした結果元利金の合計がいくらになるかが分かります。
その結果、1,340.3万円の元本が10年間で
1,801.3万円
に増える結果となりました。もちろん、この運用収益に対しても非課税です。
口座管理手数料などに注意
60歳で退職等を迎えた加入者の方が、その後も運用指図者として運用を続けるために、企業型DCに加入していた方は、退職をすると個人型DC(iDeCo)への移管が必須となり、これまで企業が負担をしていた確定拠出年金にかかるコスト等は自分自身で負担することになります。
iDeCoに加入していた方は、加入者から「運用指図者」に加入資格の変更が必要となります。
iDeCoは、もともと受取り開始時期を「60歳から70歳」のタイミングで選択することができましたが、2022年の法改正に伴い「75歳」までに拡大され、働き方の変化とともにより自由度の高い年金制度に変わります。
個人型確定拠出年金は加入している間「口座管理手数料」が毎月かかり、①国民年金基金連合会、②運営管理機関(加入金融機関)、③事務委託先金融機関(信託銀行)に対しそれぞれ支払われます。
運用指図者の場合、②運営管理機関と③事務委託先金融機関に手数料が毎月必要となります。
運営管理手数料は各金融機関がコスト0円から自由に設定することが可能で、高いところと安いところでは5倍以上の開きがあります。
③事務委託先金融機関の手数料は一律66円/月(年額792円)で、手数料の安い金融機関を選ぶと年間792円のコストを支払う事で運用指図者になる事ができます。
また、確定拠出年金の給付時は事務委託先金融機関に対し一律440円/1回の手数料がかかる点も覚えておきましょう。受け取り回数を増やせば増やすほど、コストも増えると言うことです。
今回は、積立のシミュレーションとその後10年間運用した場合の資産の推移、仮に運用指図者になった場合のコストを確認しました。
はじめに書いたように、3%の利回りで運用した場合のシミュレーションでも分かるように、手数料を考慮しても多くのメリットが感じられることが分かります。運用管理手数料自体は制度運営を維持するための手数料であることからしても決して高くはないと言えるのではないでしょうか。
次回は確定拠出年金の受け取りを繰り下げて運用指図者を選択することの効果や税金面についても考えていきます。
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