税制上の大きな優遇を受けられる!企業型確定拠出年金のメリット

従業員にとって大きな魅力となる福利厚生のひとつとして、企業型確定拠出年金(企業型DC)が挙げられます。近年注目を集めているこの制度は、企業が拠出した掛け金を従業員が運用を行い、老後に受け取るというものです。魅力ある福利厚生制度の提供は、人材の確保にも繋がります。
ちなみに、退職後に受け取る受給額は、従業員の運用成績により変動します。
ここでは、企業にとっても従業員にとってもそれぞれメリットがある企業型確定拠出年金制度の税制優遇についてわかりやすく解説します。ぜひ企業型確定拠出年金制度を検討する際にお役立てください。

税制優遇は3種類

企業型確定拠出年金(企業型DC)には、大きく分けて3つのメリットがあります。
これらのメリットを総合的に考慮すると、企業型確定拠出年金は老後に備えた資産形成の方法として有効であることがわかります。それぞれのメリットを見ていきましょう。

1.積立時のメリット:掛金が「非課税」

企業型確定拠出年金として事業主が拠出する掛金は、個人の給与とみなされないため、全額非課税となります。つまり、掛金は給与所得にはならず、所得税や住民税が掛からないということです。また、従業員が自ら積み立てるマッチング拠出の掛金は、全額所得控除の対象となります。
このような税優遇のある制度を利用することで、老後資金の準備を効率的に進めることができます。

さらに、企業型確定拠出年金に加入できるのは従業員だけでありません。役職に関係なく、社長、役員の方も原則70歳未満(※)の厚生年金被保険者であれば加入することが可能です。※加入が可能な年齢は、各企業が定める規約・規定により異なります。

企業側としては、拠出する掛金は全額損金に算入でき、掛金によっては会社負担分の社会保険料を削減できるというメリットもあります。

2.運用時のメリット:運用益が「非課税」

資産運用は、一般的に運用益に20%(所得税15%、住民税5%)の税金が課されます。しかし、企業型確定拠出年金の運用益は非課税となります。通常は税金として徴収される金額を次の運用にそのまま使うことができるので、複利効果を最大限に活かすことができると言えるでしょう。

運用は従業員個人が行うので、企業側としては確定給付企業年金とは異なり、将来的な給付額に関するリスクを負いません。これにより、企業の財務リスクが低減し、資金の運用に関する負担や管理コストも削減されます。

3.受取時のメリット:各種控除で「税軽減」

企業型確定拠出年金の資金を受け取る際には、一時金(一括)、年金(分割)、または、その併用という3つの方法から選択が可能です。一時金として受け取る場合は「退職所得控除」を、年金形式で受け取る場合には、「公的年金等控除」を利用できます。

年金として受け取る

・5年以上20年以内で年金として受け取る
・「雑所得扱い」となり、公的年金と合算し公的年金等控除の対象となる

一時金として受け取る

・60歳から75歳の間で受給時期を決めて受け取る(※受給の開始が可能な年齢は、各企業が定める規約・規定により異なります)
・退職所得として扱われ、退職金同様、退職所得控除が可能

年金と一時金を併用する

・併用して受け取る場合、上記の両方が適用される

年金と一時金を併用して受け取る場合は、受取額などを試算し、それぞれの節税効果を確認するのが良いでしょう。ただし、法律上で許容されている受け取り方法と、実際のシステムで提供されている方法には違いがあることがあります。法律が設定する枠組み内で、各企業や金融機関が独自のシステムを持っている場合は注意が必要です。

企業側としては、事前に定められた掛金を拠出するだけであり、退職時の給付額に関するリスクや追加の支払い負担などはなく、企業年金の積立不足が発生しません。
これにより、企業は長期的な資金計画を安定的に進めることが可能となるでしょう。

導入を検討する際には、メリット&デメリットを確認して

企業側からだけでなく従業員にとっても多くのメリットを持った制度として広く認知されている企業型確定拠出年金は、公的年金としての国民年金や厚生年金とは異なり、私的な年金制度でありながら、国による税制の優遇措置を受けることができます。しかし、そのメリットばかりに目を向けるのではなく、制度のデメリットも十分に理解することが重要です。
導入を検討する際には、そのメリットだけでなく、デメリットもしっかりと把握し、総合的な視点から判断を行うことが求められます。加えて、確定拠出年金にはさまざまな制度設計があり、マッチング拠出やそれぞれのプランの特性などもしっかりと把握することが不可欠です。これらを適切に活用することで、企業型確定拠出年金は老後の生活資金の準備に大きく貢献することが期待できます。

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