「投資教育」と「継続投資教育」の重要性
企業型確定拠出年金には「投資教育」と「継続投資教育」が義務化されています。今回の内容では投資教育について説明します。
1.導入した事業主が投資教育や継続投資教育を主導する必要がある?
確定拠出年金を導入する企業に知っていただきたい「投資教育」と「継続投資教育」この2つは、「事業主の努力義務」となっています。以下 企業年金連合会 が出しているハンドブックからの抜粋になります。
平成23年8月に確定拠出年金法が改正され、確定拠出年金を運営する事業主の責務と して、加入者等に対する投資教育を継続して実施することが明確化されました 制度導入から一定年月が経過しても未実施のままの企業も少なくなく、 取り組みに企業間の格差が生じつつあることが懸念されます。
制度導入から10年近く経 過した企業でも3~4割は継続教育が未実施となっております。未実施の理由として、努力義務でありどのような教育をすべきか判断が難しいという声も多くあがっています。
企業年金連合会
抜粋:企業型確定拠出年金 投資教育ハンドブック より(H26.11)
2.努力義務であり、未実施企業も多い
投資教育の実施については、事業主の努力義務として法第22条にも定められています。
努力義務のため、導入時に「投資教育」を実施している企業は多いのですが、翌年以降に実施が必要な「継続投資教育」については実施されている企業は半数ほどです。法的な罰則等もありません。
多くの企業が継続投資教育の実施に関して、社内で人員を集めたり、時間内に実施する、講師を手配することに時間を割けない現状があるのかもしれません。
3.投資教育は1度だけでは足りない現実
しかし、多くの確定拠出年金制度導入企業において、導入時教育を行った後も、加入者 の制度理解不足、投資知識の不足が生じていることが明らかになっています。多くの加入者が「元本確保」での運用をしているというのが現状であります。
企業型確定拠出年金は税金面でのメリットが大きいので、「元本確保型商品」でももちろんメリットが出ますが、
「投資信託」を選択するメリットは、長期投資における複利がメリットとなるのに対して、「元本確保型商品」では、円建てによる長期積立がインフレリスクになるのです。
4.継続投資教育の重要性
先ほど書いたように、インフレリスクは少なからず過去10年ほどで見てもリスクとして明確であり、年金連合会も「投資信託」での運用を以下のように書いています。
収益率が変動するリスクがあるものの、中長期的には高い利回りが期待できる投資信託 等の商品を一定割合以上選択しなかった場合、従前の退職給付制度と比べて加入者の将来 的な年金資産額が著しく減少することが予想される。
企業年金連合会
企業型確定拠出年金を開始したことがゴールではなく、加入者の退職時にきちんと年金として安心できるような内容となるように企業としても加入者をサポートするというのも大切な1つの要素ではないでしょうか。
継続投資教育を実施している企業では、社員のやる気や自立が促されたという話も聞きます。こういう機会があれば社会の経済状況にアンテナを張り会社の事業にもメリットが出るのかもしれません。
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