60歳まで引き出せないのはデメリットなのか?

確定拠出年金のデメリットは?と聞かれたときに、一番のデメリットとして“60歳まで引き出しができないこと”があげられます。

一度加入すると原則60歳より前に預けたお金を引き出すことができません。それでも制度発足以来加入者は増え続け、右肩上がりなのは何故でしょうか?

また、本当に解約できないのかと思われている方もいるかもしれません。結論からお伝えするとごく一部の例外を除いて60歳より前に受け取ることは不可能です。

本日はその詳細とお金の引き出しが不自由なのにも関わらず加入者が増え続けている理由について考えていきたいと思います。

“原則”とあるが本当に60歳まで引き出すことはできないのか?

60歳より前にお金を引き出す方法は以下3つです。

①障害給付金②死亡一時金③脱退一時金です。順番に詳細を見ていきましょう。

①障害給付金

高度障害(国民年金法第30条第2項に規定する障害等級に該当する程度の状態)をおった場合に受け取ることができます。

高度障害とは以下の状態に当てはまるかどうかで判断します。

  • 障害基礎年金(1級及び2級の者に限る)の受給者
  • 身体障碍者手帳(1級から3級の者に限る)の交付を受けた者
  • 療育手帳(重度の者に限る)の交付を受けた者
  • 精神障害者保健福祉手帳(1級及び2級の者に限る)の交付を受けた者

例えば両目がほぼ失明状態といった状態になった場合は60歳前であっても受け取流ことができます。なお、受取方法は一時金または年金か選択でき、受け取り方法に関わらず非課税です。(運営管理機関によっては併用も可能)

②死亡一時金

万が一お亡くなりになった場合はご遺族の方に死亡一時金として支給されます。なお、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。

③脱退一時金

中途退職等により資格喪失された方が、所定の要件を満たした場合に、例外的に受け取れます。

え?脱退できるの?と思われたかもしれませんが、この所定の要件のハードルはかなり厳しいので実質あってないようなものなのです・・。

企業型と個人型(iDeCo)で要件が異なりますのでそれぞれ見ていきましょう。

企業型脱退要件

次の3つの要件全てに当てはまること

①企業型加入者・企業型運用指図者・個人型加入者・個人型運用指図者でないこと

②請求した日における当該企業型の個人別管理資産額が15,000円以下であること

③最後に加入していた当該企業型加入者の資格を喪失した日が属する月の翌月から6ヵ月が経過してないこと

残高が1.5万円以下というのは中々ハードルが高そうですね。

それでは個人型(iDeCo)はどうでしょうか?

iDeCo脱退要件

次の5つの条件を全てに当てはまること

(2017年1月以降に資格喪失された場合)

①国民年金保険料の全額免除又は一部免除、もしくは納付猶予を受けていること(障害基礎年金裁定通知を受けた方及び国民年金法第89条第1項第3号の施設に入所している方は除きます)

②確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではないこと

③通算拠出期間が3年以下(注)、又は個人別管理資産が25万円以下であること

④企業型確定拠出年金又はiDeCoの加入者資格を最後に喪失した日から2年以内であること

⑤企業型確定拠出年金の加入者資格喪失時に脱退一時金を受給していないこと
(注)掛金を拠出しなかった期間は除きます。

例えば、iDeCoの平均掛金額は16,000円。ということは、1年ちょっとで③の要件にまず当てはまらなくなってしまいますよね・・。

おそらくiDeCoをはじめられる方は、現在の生活の見通しが立っており、将来についてしっかりと準備していきたいと始められる方が多いと思いますので、ご加入後にこの要件全てに当てはまる方はあまり多くないのではないでしょうか。

なので、こちらも脱退することは中々難しそうですね。

ここまで確認してきた通り、例外はあったもののやはり任意解約というのは実質出来なさそうです。それでも確定拠出年金の加入者はなぜ増え続けているのでしょうか?

自由に引き出せないからこそ利用したい

社会人になったばかりの頃先輩や上司から「お金って本当にたまらないんだよ」「気づいたらなくなっている」といった声を沢山聞きました。

人間の意思は弱いので、「普段頑張っているからちょっとご褒美♪」とつい使ってしまう、あるいは「急な出費があり仕方なく」・・ということもあると思います。

でも、老後は健康であれば誰にでもやってくる未来。そしてご存知の通り日本の年金は頼りにはならなさそう・・。

以前よりお伝えしている通り、老後の資産形成は長期間になります。何十年もの間自由に使えてしまっては、計画通にすすんで行かない可能性もあると思います。

既に始めている皆さんは、老後の資産形成は「鍵がかかっているからこそ確実にたまる」と60歳より前に引き出せないことを、プラスに捉えて利用されているのではないでしょうか?

また以前からお伝えしている通り引き出すことは出来ませんが、掛金額を変更することは可能です◎

ライフプランに応じて金額を見直しながら確実に老後の備えを準備していきましょう!

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